みなさまこんにちは!hanamaruといいます。 福島県南部の神社やお寺には魅力的な狛犬がおります。 厳しさや優しさを感じる表情豊かな狛犬たち。 歴史や石工たちの思いを馳せながら、夫婦で狛犬めぐりを楽しんでいます。
飛翔獅子と言えば、師匠の小松寅吉の力強い狛犬が有名ですが、和平の慈愛に満ちた飛翔獅子も素敵です。
和平さんの狛犬は小さい子獅子も細かいところまで丁寧に作られていて魅力的なんだよ。
僕みたいに可愛いんだぁ( ´艸`)
保土原神社~須賀川市保土原上屋敷34
県道289号線沿いの須賀川市保土原の民家と並んで保土原神社へと続く参道口がありました。
参道口には福島県の県南地方に狛犬文化を広めた、高遠石工の小松利平の工房で修業した小林和平の狛犬が奉納されております。
卓越した技術と優しい表情の狛犬
保土原神社の狛犬は、福島県が生んだ三大石工の一人である小林和平の作品です。
和平は、明治14年石川町に生まれ、10代で近隣の浅川町富貴作の小松寅吉の工房へ弟子入りしました。
寅吉の下で厳しい修行に耐え狛犬を芸術的作品としても確立していきました。
こちらは、昭和6年、和平が49歳の年の作品です。
全国的にも珍しい後ろ脚を蹴り上げた「飛翔獅子」スタイルの狛犬です。
師匠の小松寅吉の「飛翔獅子」は力強い狛犬ですが、和平の「飛翔獅子」は正反対の優しさ溢れる狛犬です。
阿形の狛犬は雲に乗って飛んできたような動きのある狛犬で、胸元には大きな牡丹の花が添えられています。
また、体毛や尾は風になびいたように躍動感があふれています。
後姿も生き生きとしており技術の高さがわかります。
吽形の狛犬には親獅子の胸元で毬?玉?で遊ぶ2頭の可愛い子獅子と顔の横には少し大きいお姉さん子獅子がおります。
子だくさんの狛犬です。
表情も阿形の狛犬より優しそうな慈愛に満ちた表情です。
石工 小林和平には三人の子どもがおりましたが、二人の男の子を幼少期に亡くし、娘も15歳で亡くすという悲しい人生を送っております。
和平が悲しい出来事から立ち直り、亡き子どもへの深い愛情を込めて作られた作品は見る人を優しい気持ちにさせてくれます。
じゃれあう子獅子たちの表情も生き生きとしており、親獅子の下で安心して遊んでいるような姿です。
尾は和平特有の渦巻き型で立派な尾をしています。
次の年には古殿八幡神社でより一層渦巻きの激しい尾を持つ飛翔獅子を作っております。
尾や後ろ姿、どこから見ても手抜きは無く細部まで丁寧に彫られた狛犬でした。
和平の飛翔獅子スタイルの確立
和平は、毎年各地で同じような飛翔獅子の親子を作成しています。
まず、昭和5年(48歳)には石川町の「石都都古和気神社」に同じような飛翔獅子の親子獅子を作成しました。
詳しくはこちらのページもご覧ください。
そして、昭和6年(49歳)で須賀川市の「保土原神社」の親子獅子。
また翌年、昭和7年(51歳)には古殿町の「古殿八幡神社」にさらにスケールが大きくなった親子獅子を作成しております。
詳しくはこちらのページもご覧ください。
保土原神社
参道口から竹林を抜けると鳥居が見えてきます。
杉木立をさらに進むと神社の境内が見えてきました。
昨年から狛犬めぐりをして100以上の狛犬を見てきました。
近年の度重なる地震で壊れてしまった鳥居や石像もありました。
氏子さんや有志の方により立て直されるところもございますが、お金は勿論のこと直す石工さんがいらっしゃらない事も修復が遅れていることだそうです。
私は微力ながらこの素晴らしい遺産を次の世代に伝えていければと思います。
保土原神社の拝殿は1862年(文久2年)今から160年前に建てられ、多くの信者に支えられた長い歴史を持つ神社だそうです。
神社の扁額の字体は昔の字なのであまり見かけませんが印鑑に使われている篆書体のようですね。
アクセス
参道口に砂利敷きの狭いスペースはありますが大きい車は駐車が難しいと思いますのでお気を付けください。
訪問日:2021年5月29日(晴)、2022年4月10日(晴)、2022年5月3日(晴)
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